【ビルオーナー・店舗オーナー必読】うちのビルは大丈夫?「特定一階段等防火対象物」の判断基準と厳格化される消防設備を徹底解説
「特定一階段等防火対象物(とくていいちかいだんとうぼうかたいしょうぶつ)」という言葉を聞いたことがありますか?
専門用語で難しく感じられますが、簡単に言うと「万が一の火災時、逃げ道が限られていて非常に危険性が高い建物」として消防法で特別に指定されている建物のことです。
「特定一階段等防火対象物」に該当すると、通常よりも厳しい消防設備の設置基準や点検義務が課せられます。
この記事では、どのような建物が該当するのか、フローチャート形式のチェック方法や具体的な例、そして該当した場合に必要な対応について分かりやすく解説します。
「特定一階段等防火対象物」とは
「特定一階段等防火対象物」とは、主に3階以上の階または地階(地下)に特定用途(不特定多数の人が出入りする店舗など)があり、地上へ逃げるための屋内階段が1つしかない建物を指します。
下記の図では全てのテナントが特定防火対象物のテナントが入っているとした場合は
屋内に1つしか階段のない左の図だけが特定一階段防火対象物となります。

歌舞伎町のビル火災などをきっかけに法改正が行われ、避難器具の設置や自動火災報知設備の義務化など、通常の建物よりも厳しい消防法が適用されるようになりました。
「特定用途」に該当する主な施設
不特定多数の人が利用する、または自力避難が難しい人がいる施設が該当します。
下記のピンクの1年ごとに1回と書いてある施設が特定防火対象物です。
青が非特定防火対象物となります。

避難階(ひなんかい)・屋外階段とは?
避難階とは直接地上に出られる階のことです。一般的には1階ですが、傾斜地に建っている建物などでは2階や地下1階が避難階になることもあります。
屋外階段とは外気に向かって開放されている屋外階段は対象外となります。また、屋内階段であっても一定の条件(防煙機能や区画など)を満たしている場合は該当しないケースがあります。
具体例で見る「該当するケース」と「該当しないケース」
言葉だけではイメージしづらいため、具体的な建物の構造例を見ていきましょう。
該当するケース(リスクが高い構造)
3階に居酒屋(特定用途)があり、避難階段が屋内の1つしかない場合
地下1階にバー(特定用途)があり、避難階段が屋内の1つしかない場合
該当しないケース(安全性が確保されている構造)

階段が「屋外」にある場合
たとえば、3階に特定用途のテナントがあっても、避難に使う階段が外気に開放された「屋外階段」であれば、万が一の煙の充満リスクが低いため「特定一階段等」には該当しません。
「特定一階段等防火対象物」に該当した場合、主に以下の4つの基準が厳格化されます。
① 自動火災報知設備(自火報)の設置が原則義務化
通常であれば一定の延床面積がなければ設置義務が生じないような小規模な建物であっても、面積に関わらず自動火災報知設備の設置が義務付けられます。
② 受信機や感知器の設置基準が厳しくなる
火災をより早く検知し、建物全体へ確実に知らせるため、使用するセンサー(感知器)の種類や受信機の仕様についての制限が厳しくなります。安価な熱感知器ではなく高額な煙感知器を施工しなければなりません。
③ 避難器具の設置基準強化
避難はしごや救助袋などの「避難器具」が必要な場合、設置場所や選定基準がより厳しく判定されます。
④ 防火対象物点検報告の義務化
防火対象物点検資格者による定期的な点検と、消防長・消防署長への報告義務が発生する可能性があります。
提出先は消防署になりますが消防点検とはまた別に見積もりを取る必要があります。
まとめ
「特定一階段等防火対象物」は、階段が屋内に1つしかないという構造上の理由から、火災時の煙や火の回りが早ければ一気に避難路が絶たれる危険をはらんでいます。
「うちのビルは大丈夫かな?」「新しく飲食店を入れたいけれど消防設備はどうなる?」と疑問や不安を感じたら、施工業者や不動産業者任せにせず、必ず事前に管轄の消防署(予防課・指導課など)か地域の防災業者へご相談ください。
※本記事は一般的な解説です。建物の詳細な構造や避難階の判定、必要な消防設備の選定については、必ず最寄りの消防本部・消防署の予防課へ直接お問い合わせ・ご確認ください。

